なぜ君は総理大臣になれないのか 

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今回は映画レビューをしたいと思います。

「なぜ君は総理大臣になれないのか」を観てきました。

 

【あらすじ・概要】

テレビドキュメンタリーや『園子温という生きもの』などを手掛けてきた大島新監督が、高い志を抱きながらも党や派閥に翻弄(ほんろう)される政治家の17年間を追ったドキュメンタリー。2019年の国会で統計不正を質したことからSNS上で“統計王子”の愛称で呼ばれた衆議院議員小川淳也に2003年の初出馬から取材し、高潔な政治思想があっても党利党益に貢献しないために出世できないジレンマや、背水の陣となった選挙戦などをカメラが捉える。

2003年10月、当時32歳の小川淳也は第43回衆議院議員選挙に民主党(当時)から初出馬。地盤・看板・カバンなしで選挙戦を戦ったものの落選。2005年に初当選を果たす。無私で真摯(しんし)な姿勢には、リベラルと保守の双方の論客から期待を寄せられた。しかし、党利党益に貢献できないと出世もままならない。2012年からの安倍政権下では我慢の日々が続き、苦悩を抱えながら2017年の衆議院議員総選挙に挑んでいく。

 

簡単に言えば政治ドキュメンタリーです。

 

【見る前の感想】

正直私は小川議員にはあまり良い印象を持っていませんでした。些細な問題で空騒ぎする、仕事のしない野党議員ばかりだと思っていました。

 

映画の存在を知ったのはYouTubeでした。

予告を見た時になぜかは分かりませんが無性に観たくなりました。政治のドキュメンタリー、しかも17年に渡る長期間の取材に興味を持ちました。

 

ただ、イデオロギーが多分に含まれた映画かもしれないと構えて劇場に向かいました。

 

【感想】

 

『誠実』

全編を見て小川議員は愚直で真面目な人だと感じました。もっと嫌らしく打算的な国会議員だと思っていただけに良い意味で裏切られました。長期間に渡る取材だからこそ彼の誠実な一面がスクリーン越しからでも伝わりました。

 

比例当選から民主党政権期の選挙区当選まで彼の人生は右肩上がりでした。しかし再び自民党に政権を取られると急下降します。政局によるゴタゴタで苦悩、葛藤に苛まれます。その中でも彼は誠実に、ひたむきに取り組む姿には感心しました。

 

『国家観』

ただ、彼は何に苦悩、葛藤していたのでしょうか。彼は高福祉国家ベーシックインカム等]を目指すと紹介されていました。

それを実現するには選挙区当選して、党内での力を持つ事が条件でした。

 

同じ選挙区には自民党の平井卓夫がいました。彼は3世議員に加え、四国新聞の社長を弟が務めるなど地盤盤石な華麗なる一族です。

 

そこに勝つのは容易ではありません。比例では何度も当選するものの、党内で幅を利かせるだけの力はありません。さらに政局に巻き込まれ苦心します。

 

私は彼が苦悩、葛藤するのは国家観が形成されてないからではないかと感じました。どういう国にしたいのか、なぜ高福祉国家にしたいのか、いまいち伝わりませんでした。

何とかしたいという気持ちは伝わりましたが、彼の軸になるものが見えてこなかったです。

 

政治家に向いては無いのではないか、それを振り払うために、自分自身を奮い立たせるために発破をかけた様にも見えました。

 

 

『家族愛』

この映画にもう一つテーマをつけるなら「家族愛」ではないでしょうか。両親、妻、娘たちが登場します。ご家族はやめて欲しいと口にしています。ですがみな小川議員の気持ちを何より尊重し、一生懸命選挙活動に協力します。

 

商店街での選挙活動中、厳しい言葉を浴びせられる場面がありました。この場面は胸が痛かったです。父が非難されている子どもの気持ち、はたまた娘2人を巻き込んでしまっている父の気持ち。何とも言えない気持ちになりました。

 

【まとめ】

彼の愚直な政治人生、家族愛など見どころ満載の映画で引き込まれました。当初懸念したイデオロギーに偏った映画ではなく、小川淳也個人に焦点を当てたドキュメンタリー映画でした。

是非色んな人に見て欲しいと思いました。

 

ここまで苦難の道を歩んできた小川議員には追い風が吹いていると感じます。昨年の厚労省の不正統計の問題で注目を浴びます。

さらに、2020年8月11日には同じ香川を選挙区とする国民民主党代表、玉木雄一郎が国民民主党を分党すると会見を行いました。

現在無所属の小川議員には是非とも合流してほしいと思います。